ワーグナー 二人のテノール歌手

今年はヴェルディとともにワーグナーも生誕200年です。
先日の東京出張の帰りにCDショップに立ち寄ると、ワーグナーコーナーが設けられておりました。
その中で2枚の新譜が目に付きました。


Jonas Kaufmann/Wagner: Arias [4785189]

Klaus Florian Vogt/Klaus Florian Vogt – Wagner [88725471692]

Jonas Kaufmann (ヨナス・カウフマン)とKlaus Florian Vogt (クラウス・フロリアン・フォークト)
カウフマンは1969年ドイツ生まれ。
フォークトは年齢非公開ですがドイツ生まれでカウフマンとほぼ同年代と思われます。
二人とも21世紀に入りバイロイト音楽祭やニューヨーク・メトロポリタン歌劇場でワーグナーを歌い活躍中のテノール歌手。
往年の3大テノールと違い現代風のイケメンです。
カウフマンは既に多くのCDアルバムをリリースしておりましたが、フォークトは昨年「Helden」でアルバムデビューを果たし、注目株というところでしょうか。
というわけで、フォークトのほうを選択。
前作のHeldenはワーグナーだけでなく、モーツァルト ウェーバーなどの曲も収録されており、
また、ローエングリン マイスタージンガーでは前奏曲に引き続き歌があるという演出もあって凝った印象がありますが、
本作のほうは、フォークトの歌のみ。しかし、トリスタンとイゾルデ ワルキューレでは、ソプラノのCamilla Nylundとの絡みもあってこれはこれで面白い。
フォークトの澄んだ歌声と、一枚まるごとワーグナーでお腹いっぱい。


Klaus Florian Vogt/Helden – Weber, Wagner, Mozart, etc [88697988642]

この二人の曲を比較したサイトがありました。
ikely Impossibilities: [Tenor] + Wagner
フォークトは、「Wagner」と「Helden」
カウフマンも、「Wagner」と「Sehnsucht」
を比較紹介しております。
カウフマンの「Sehnsucht」も「Helden」同様、ワーグナーだけでなくモーツァルト シューベルト べートーヴェンの曲も収録されており、二人のアルバムの選曲も興味深いところです。


Jonas Kaufmann/Jonas Kaufmann – Wagner, Mozart, Schubert, Beethoven / Claudio Abbado, Mahler Chamber Orchestra [4781463]

KARAJAN 70

Karajan70a一昨年のKarajan 60に引き続きKarajan 70がリリースされました。

Karajan70b韓国ユニバーサルミュージックからカラヤンのドイツ・グラモフォンからリリースされた1970年代のLPレコードを Karajan60同様、1枚のレコードをそのまま1枚のCDに収録し、ジャケットのオリジナルジャケットも再現。今回は、CDのレーベル面をLPレコードをCDサイズに縮小しレコードの溝もデザインされている芸の細かさ。

296ページの解説本も、英語・韓国語・日本語の3ヶ国語対応と、日本を市場として意識しているのがうかがえます。
トータル88枚のCDは聴き応えがありそうです。


Herbert Von Karajan/Karajan 70 – 1970 DG Recordings [88CD+BOOK] [DN0020]

カラヤン (1908-1989)/Karajan 70-the Complete Orchestral Recordings On Dg 1970’s

プラハ国立歌劇場「アイーダ」 2009/11/07

今年はヴェルディ生誕200年ということで、多くのオペラが日本でも公演されるとことだと思います。
連休中の11日未明にはNHKBSでプレミアムシアター ヴェローナ野外オペラ・フェスティバル2012「アイーダ」が放映されておりました。
劇場で初めて見たオペラも2009年のヴェルディのプラハ国立歌劇場「アイーダ」でした。
大阪厚生年金会館場所は大阪厚生年金会館 大ホール


アイーダ家人が旅行で留守をするということで、チケットは3日前に購入したところ、席はなんと7列目


お決まりの「凱旋の場」のダンスは見ごたえがありましたし、アイーダトランペットも目の前で聴くことが出来ました。

lこの動画は、オーロラオペラハウスの公演ですが、凱旋の場を通しでご覧いただけます。
劇団四季の「アイーダ」とはかなり違うんですね。(本家はオペラなので当然かもしれませんが)
また、ヒロインのアイーダが貫禄充分なのもお約束なんでしょうね。
対するアムネリスの悲恋がしみじみ感じさせられました。
(NHK-BSでのアムネリスでは堂々とした王女様で、役者・演出により受け止め方の変わるのも面白いところです。)
指揮:ジョルジョ・クローチ
演出:マッシモ・ガスパロン
プラハ国立歌劇場管弦楽団・合唱団・バレエ団
アイーダ:ディミトラ・テオドッシュウ
ラダメス:マリオ・マラニーニ/エフェ・キスラリ/ジャンルカ・ザンピエーリ
アムネリス:ガリア・イブラギモヴァ ほか
アモナスロ:マルティン・バールタ/ミゲランジェロ・カヴァルカンティ
エジプト国王およびランフィス:オレグ・コロトコフ/ルカーシュ・ヒネック・クレマー/ラディスラフ・ムレイネク
使者:ルボミール・ハヴラーク
巫女の長:ダグマル・ヴァニュカトヴァー
アイーダを演じたテオドッシュウは、今年のハンガリー国立歌劇場「椿姫」で来日し、ヴィオレッタを演じるとのことです。

曲の速さ

某北新地のバーで隣客より、「以前に上岡敏之&ヴッパータール交響楽団のマラ7を横浜に聴きに行ったんだけど、結構長かったんだよね。CDへの収録も1枚に収まらず2枚になったんだけど、1枚の値段で予約受け付けてたから、2枚になっても値上げ出来なかったんだよね」ということをお聞きしました。
そのCDは↓


上岡敏之/ブルックナー:交響曲第7番 [COCQ-84841]

ブルックナー (1824-1896)/Sym 7 : 上岡敏之 / Wuppertal So

その昔、カラヤンがソニーの社長に対してCDの収録時間をベートーヴェンの第9がすっぽり納まる時間にと言ったというエピソードがありますが、
東急ジルベスターコンサート 2012-2013/では、曲を演奏しながらカウントダウンをするわけですが、うまく会わない年もあるそうで、
どうやら、演奏家により曲の長さというものは違うということが判りました。
で、検索をしているとニコニコ動画にこのような動画がアップされていることを見つけていたのですが、
この機会に紹介しましょう。

アーノンクール、インマゼール、カラヤン、クーベリック、コープマン、ジュリーニ、セル、ブリュッヘン、フルトヴェングラー、ベーム、ワルター6人の指揮者によるモツ40冒頭部とのこと

ベーム、バーンスタイン、カラヤン、フリッチャイ、クライバー、ムラヴィンスキーの6人の指揮者によるベト7・第4楽章の終結部とのこと。
先日のマリス・ヤンソンスとバイエルン放送交響楽団の7番はというと、爆速でもなく、鈍重でもなく。
程よい快速で、かつ熱演だったと思います。
知っている人には知っていることなんでしょうが、ちょっとした発見でした。

ランメルモールのルチア/ナタリー・デセイ

昨年、業界団体の外郭の社団法人の役員に就任し、月一程度会議のために東京に出張していたのだが、来年末に実施されるシステムの置き換えの携わることとなり今夏以降出張が増え、この日も隔日で会議が開催されることとなった。
そこで、中一日おいて東京日帰りも辛いので連泊してのんびり過ごそうかと考えていたところ、折よく、ナタリー・デセイ(ドゥセ)が「ランメルモールのルチア」をサントリーホールで歌うことを知り、迷ったあげくチケットを押える。
公演は会議当日の19時開演のため、会議終了後のメンバーとの歓談を控えめにして、目黒経由南北線で六本木に。
サントリーホールl
地下鉄を降りると、そう多くはないが人の波は会場方向に動いているので迷わずにサントリーホール前のカラヤン広場にたどり着く。
ここが、数々のコンサートが開催されたサントリーホールかと思うを感慨もひとしお。


実は、オペラを観たのは、2009年11月 大阪厚生年金会館でのプラハ国立歌劇場「アイーダ」の一度きり。
後は、DVDやテレビ、インターネットでの鑑賞
ポスター
今日は、ワレリー・ゲルギエフ指揮 マリインスキー歌劇場管弦楽団 日本公演の一つとして、コンサート形式で開催された。


10日には大阪のシンフォニーホールでもコンサートが開催されていたようだが、ナタリー・デセイの公演はこの日のみ。
泡物
開演前はお決まりの泡物で喉を潤しちょっと一息


ホール内
チケットを取ったのは公演間近だったので席もそう残っておらず、また初めての会場なため不安だったが、ご覧のとおりソリストが目線の高さに座る位置。しかもデセイの座る側という好位置。音響的にはもう少し後ろが良かったらしいが。


と前置きが長くなったが、公演は定刻を少しまわった頃、オーケストラのメンバーの入場の後、ソリスト・指揮者が入場し、公演開始。
デセイは黒のドレス。
私ごときが公演について記すのはおこがましいが、初心者の感じたことなど。
マリインスキー歌劇場管弦楽団はロシアの名オーケストラなのだが、映画「オーケストラ」を髣髴させるロシアの香り。
ゲルギエフの指揮は、これぞまさに爆演。連日の公演の疲れなど感じさせないスピードと迫力。タフです。
オーケストラの皆さんはちょっとお疲れがあったかも。
デセイの声も最初はオーケストラの音が勝っていたが、徐々に調子が乗ってきた。せっかく目線の高さが同じなのに、一度も目が合うことがなく残念。
コンサート形式のため、衣装や振りがなく歌もイタリア語のため字幕が頼りだが、徐々の曲に魅かれ字幕を見ずに曲を聴くことだけに。
弦の音色、管の迫力にオペラはオーケストラの音楽なんだとつくづく感じる。
この日の聴衆は慣れた方が多いのか、拍手・ブラボーの声も指揮棒が降りるタイミング待つかのように余韻を残して。
第2幕フィナーレの6重唱で休憩に入るが、この6重唱も迫力があって、その余韻を冷やすように館外に出て、ソフトドリンクで一服。
後半はいよいよ「狂乱の場」
デセイの独唱が続く。最初は淡々と歌っていたかのように見えたが、いつのまにか熱唱。
舞台のように狂気こそは感じられなかったが、デセイの美声を十分に堪能できた。
オペラ歌手は歌手自体が楽器なんだとつくづく思う。
また、デセイ演じるルチアの相棒エドガルドを演じるエフゲニー・アキーモフは代役の代役ながら気迫でフィナーレに。
指揮棒が下りると、拍手は鳴りやまず、指揮者・ソリストは何度もカーテンコールに応じくれ、観客も総立ちに。
ロビーではゲルギエフのサイン会のアナウンスがされ、ネットで知ったところによるとデセイもサインに応じてくれたとかとのこと
しかし大崎で打ち合わせの続きが残っていたため、後ろ髪を引かれる思いで余韻を味わう暇もなく会場を後にした。
素晴らしいコンサートだった。私の言葉ではここには綴れない。
先輩諸兄が、ブログに記事を投稿されているので、詳しくはそちらをご覧いただきたい。


ドニゼッティ: ランメルモールのルチア (Donizetti : Lucia Di Lammermoor / Natalie Dessay, Valery Gergiev, Mariinsky Orchestra & Chorus) (2SACD Hybrid) [輸入盤] [日本語解説書・歌詞訳付]

ドニゼッティ (1797-1848)/Lucia Di Lammermoor: Gergiev / Kirov Opera Dessay Beczala Bannik Sulimsky (Hyb)

今回の来日公演にあわせCDも発売されており、チケット確保と同時に購入し予習にも活用。
日本語訳付というのが大いに助かった。
Pamphlet


ワレリー・ゲルギエフ Valery Gergiev (芸術総監督・首席指揮者 / Artistic and General Director)
マリインスキー歌劇場管弦楽団 The Mariinsky Orchestra
ルチア:ナタリー・デセイ(ソプラノ) Lucia:Natalie Dessay (Soprano)
エンリーコ:ウラジスラフ・スリムスキー(バリトン) Enrico:Vladislav Sulimsky (Baritone)
エドガルド:エフゲニー・アキーモフ(テノール) Yevgeny Akimov (Tenor)
アルトゥーロ:ディミトリー・ヴォロパエフ(テノール) Arturo:Dmitry Voropaev (Tenor)
ライモンド:イリヤ・バンニク(バス)  Raimondo:Ilya Bannik (Bass)
アリーサ:ジャンナ・ドムブロフスカヤ(メゾ・ソプラノ) Alisa:Zhanna Dombrovskaya (Mezzo soprano)
ノルマンノ:水口聡(テノール) Normanno:Satoshi Mizuguchi (Tenor)
グラス・ハーモニカ:サッシャ・レッカート Glass Harmonica:Sascha Reckert
新国立劇場合唱団 New National Theatre Chorus

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