サロメ奇譚

今年初の観劇は、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティでのサロメ

 

2019年6月8日 中之島のフェスティバルホールで鑑賞した折は、コンサート形式で舞台も無く、かつ字幕ということもあり、いま一つ乗り切れず消化不良で終わった、リヒャルトシュトラウスのオペラ「サロメ」
2019年フェスティバルホールでの「7つのヴェールの踊り」

今回はそのリベンジ的な意味合いもあり、昨年末、予約抽選でチケットを購入
サロメ役は、元宝塚の朝海ひかるさん
ユダヤ王国を現代日本のユダ屋グループに置き換え、ヘロデ王の誕生日の祝宴を、社長の還暦パーティを舞台とする演出。

この日は、アフタートーク・イベント終了後、写真撮影タイムを設けられており、サロメ役の朝海ひかるさんとヨカナーン役の牧島 輝さんを客席から撮らせていただきました。

ちょっと、蘊蓄めいた話になりますが、「サロメ」はオスカー・ワイルド原作の戯曲ですが、新約聖書の記述を元に書かれました。

 

さて、イエスの名が知れわたって、ヘロデ王の耳にはいった。ある人々は「バプテスマのヨハネが、死人の中からよみがえってきたのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ」と言い、他の人々は「彼はエリヤだ」と言い、また他の人々は「昔の預言者のような預言者だ」と言った。ところが、ヘロデはこれを聞いて、「わたしが首を切ったあのヨハネがよみがえったのだ」と言った。
このヘロデは、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤをめとったが、そのことで、人をつかわし、ヨハネを捕えて獄につないだ。それは、ヨハネがヘロデに、「兄弟の妻をめとるのは、よろしくない」と言ったからである。そこで、ヘロデヤはヨハネを恨み、彼を殺そうと思っていたが、できないでいた。それはヘロデが、ヨハネは正しくて聖なる人であることを知って、彼を恐れ、彼に保護を加え、またその教を聞いて非常に悩みながらも、なお喜んで聞いていたからである。
ところが、よい機会がきた。ヘロデは自分の誕生日の祝に、高官や将校やガリラヤの重立った人たちを招いて宴会を催したが、そこへ、このヘロデヤの娘がはいってきて舞をまい、ヘロデをはじめ列座の人たちを喜ばせた。そこで王はこの少女に「ほしいものはなんでも言いなさい。あなたにあげるから」と言い、さらに「ほしければ、この国の半分でもあげよう」と誓って言った。そこで少女は座をはずして、母に「何をお願いしましょうか」と尋ねると、母は「バプテスマのヨハネの首を」と答えた。するとすぐ、少女は急いで王のところに行って願った、「今すぐに、バプテスマのヨハネの首を盆にのせて、それをいただきとうございます」。王は非常に困ったが、いったん誓ったのと、また列座の人たちの手前、少女の願いを退けることを好まなかった。そこで、王はすぐに衛兵をつかわし、ヨハネの首を持って来るように命じた。衛兵は出て行き、獄中でヨハネの首を切り、盆にのせて持ってきて少女に与え、少女はそれを母にわたした。ヨハネの弟子たちはこのことを聞き、その死体を引き取りにきて、墓に納めた。

マルコによる福音書

聖書では、ヨカナーン(バプテスマのヨハネ)の首を望んだのは、サロメの母親のへロディアと書かれております。劇中でも、前夫の弟と結婚したことを咎めておりましたので、筋としては通っております。それをサロメが所望したと描いた狂気。芝居ならではの世界です。

劇中、ヨカナーンの科白も、聖書にそのような一節があったのではと思えました。

オペラとは、また違った「サロメ」
今回は堪能させていただきました。

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