平成24年七月大歌舞伎ですので、6年以上前になります。
当時歌舞伎をお誘いいただいていたU先生より「大向こうで観てみませんか?」と声を掛けていただきました。
聞けば、U先生、一度 大向こうで掛け声を掛けてみたかったとのことで、乗りの良い私たちをお誘いいただいた次第。
この日は、当職の職域団体の厚生事業の歌舞伎観劇会にあたっており、開演前には観劇会参加の知己の方々とお会いしましたが、我々は別行動でエスカレーターを更に3階席まで登ります。
開演前にどの役者さんがどの屋号か番付に目を通しますが、俄には頭にいりません。
この日の演目は、「双蝶々曲輪日記」から引窓、「棒しばり」、「荒川の佐吉」の3題。
棒しばり以外は初見のためあらすじも頭に入っていませんので、どのタイミングで声を掛けてよいのやら。隣のU先生の掛け声に合わせ、一拍遅れ「松嶋屋」、見得に合わせて「高砂屋」役者さんの退場に「松嶋屋」
「棒しばり」は以前に狂言で観た演目です。
ベテランの大向うさんがこの日襲名の中村又五郎さんに、「待ってました三代目」と掛けるのを聞き、役者さんと大向うさんの息が合う醍醐味と肌で感じました。
「荒川の佐吉」は人情物で芝居に夢中になってしまい、掛け声どころでありませんでしたが、片岡仁左衛門さん、中村吉右衛門さんのご両所に「松嶋屋」「播磨屋」と、思い切って声を張り上げさせていただきました。
他の観客の皆さんの興を削がないかと冷や冷やものの大向う初体験でした。
翌平成25年2月の日本経済新聞には次のような記事が掲載されてありました。
歌舞伎の掛け声「大向こう」、飛び入りしていい?:日本経済新聞 2013/2/9/
機会があったら、またやってみたいと思いながらも、以後機会もなく現在に至っております。